銅がBHP最大の収益源に:需要拡大は銅価格の見通しを押し上げるか?

August 21, 2026

※本記事は、Canadian Mining Report にて Ben McGregor 氏が執筆した内容を翻訳・再構成したものです。

年間ベースで初めて、銅がBHPの基礎利益の半分以上を占めました。データセンターの建設、送電網の拡張、そして根強い供給制約が重なるなか、銅はBHPにとって脇役から主要な収益源へと変化しています。今後の焦点は、現在の銅市場を支える環境がどこまで続くのかという点です。

銅は、世界最大級の鉱山会社であるBHPの事業構造において、急速に存在感を高めています。

BHPは2026年6月までの1年間で、基礎EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が前年比27%増の330億米ドルになったと報告しました。このうち銅部門は48%増の180億米ドルを占め、年間ベースで初めて鉄鉱石を上回る最大の収益源となりました。現在、銅はBHPの基礎EBITDAの54%を占めています。

BHPのブランドン・クレイグCEOも、「銅はBHPの成長を牽引するエンジンだ」と明言しています。

そのほか、売上高は15%増の588億米ドル、純利益は9%増の98億米ドルとなりました。通期配当は56%増の1.72米ドルと4年ぶりの高水準となり、BHP株は決算発表当日に2.6%上昇しました。年初来では約40%上昇し、時価総額は約2,300億米ドルに達しています。

ただし、より重要なのは表面的な数字だけではありません。世界最大級の鉱山会社の収益構造において銅の重要性が高まっていることは、銅投資、銅鉱山株、そして長期的な銅価格の見通しを考えるうえでも重要な変化です。

BHPにとって銅の重要性が高まっている理由

こうした変化は一夜にして起きたものではありません。BHPは数年前から、銅を最大の成長機会の一つと位置づけてきました。

同社は南米と南オーストラリアで銅を生産しています。直近の1年間では副産物による収益も増加し、金、銀、ウランによる収益は45%増の45億米ドルとなりました。

CFOのヴァンディタ・パント氏によると、既存事業から生み出されるキャッシュフローだけで、今後5年間の成長プロジェクトに必要な資金をすべて賄える見込みです。

資本配分についてもBHPの方針は明確です。同社にとっては、他社を買収するよりも自社のプロジェクトを開発する方が魅力的だと考えられています。

BHPが自社のプロジェクトを通じて銅の生産能力を追加する場合、そのコストは1トン当たり1万6,000~3万米ドル程度です。一方、銅専業企業を買収する場合には1トン当たり10万米ドル近くに達する可能性があり、約5倍の差があります。

このコスト差は、銅の存在感が急速に高まるなかでも、BHPが銅、鉄鉱石、カリウム、原料炭という4つの中核コモディティに満足している理由の一つです。

投資家にとって重要なのは、銅がもはやBHPの事業を分散するための一部門ではなく、主要な成長ドライバーになっているという点です。

BHPの年間銅生産量は約195万トンに達しています。今後はエスコンディーダ鉱山の新たな選鉱施設などのプロジェクトを通じて、今後10年間で持分ベースの銅生産量を大幅に増やす道筋も示しています。

2026年の銅需要を押し上げているもの

銅需要を支える要因は、従来の景気循環だけではなくなっています。

BHPは特に、データセンターとエネルギーネットワークへの投資拡大を指摘しています。同社は、世界の銅需要が現在の年間約3,400万トンから、2050年には5,000万トンへ増加すると予測しています。

なかでも新たな需要源として注目されているのが、AIとそれを支える電力インフラです。

高密度のAIデータセンターでは、従来型の施設よりも1メガワット当たりの銅使用量が大幅に増えるとされています。配電、冷却設備、送電網への接続まで含めると、1メガワット当たり40~70トンの銅が必要になるとの推計もあります。

さらに大きな影響を与える可能性があるのが、その周辺インフラです。大規模なデータセンターには発電設備、送電網、変電所への大規模な投資が必要となり、これらにも大量の銅が使用されます。

長期的には、輸送の電動化、再生可能エネルギーの拡大、送電網の近代化が、引き続き大きな需要源となります。

中国もインフラなどを中心に大量の銅を消費しています。その結果、AIデータセンターが実際にどこまで需要を増加させるのかについて議論はあるものの、世界の銅需要見通しはAI普及以前の想定より構造的に高くなっています。

銅の需給は依然として綱渡り

需要が拡大する一方、供給側の状況はそれほど楽観的ではありません。

鉱山の操業停止、鉱石品位の低下、長期化する許認可、大規模な新規プロジェクトを稼働させることの難しさなどによって、銅鉱山の生産量は急速には増えていません。

主要取引所の銅在庫も、時期によっては逼迫しています。市場予測では小幅な供給余剰を見込むものと供給不足を警告するものが混在しており、予測機関や対象期間によって見方は異なります。

銅の供給制約そのものは新しい問題ではありません。しかし、需要源が増えるにつれて、その重要性がより明確になっています。

実際に供給不足が発生する場合だけでなく、その可能性が現実味を帯びるだけでも、単なる需要拡大への期待以上に銅価格を支える要因となります。

そのため、銅在庫は重要な指標です。市場で確認できる在庫が減少する一方で現物プレミアムが上昇すれば、銅市場の需給が引き締まっていることを示します。

こうした環境では、カナダの銅関連株や銅探鉱会社も興味深い位置にあります。既存のインフラがあり、許認可制度が比較的明確で、北米の需要地に近い地域は、大手鉱山会社が自社開発を優先する環境でも資本を呼び込む可能性があります。

現在の市場環境では、信頼できる生産拡大計画、健全なバランスシート、構造的な需要拡大へのエクスポージャーを持つ銅関連企業が注目されています。

銅価格はさらに上昇するのか

2026年の銅価格はすでに大きく上昇しています。8月下旬にはCOMEXの銅先物価格が1ポンド6.58米ドル付近で取引され、年初には過去最高値圏に達する場面もありました。

今後の銅価格予測には大きな幅があります。一部の金融機関は、今後12~24か月の銅価格を1トン当たり1万2,000~1万5,000米ドル程度と予測しています。

一方、価格上昇による需要減少や供給増加の可能性を理由に、より慎重な見方もあります。

銅価格が今後も上昇を続けるかという問いに対して、単純な答えはありません。長期的には、電動化やデジタルインフラによる構造的な需要が、10年前には存在しなかった価格の下支え要因となっています。

同時に、供給側では新たな生産能力を短期間で増やすことが難しく、需要増加に供給が追いつくまでには時間がかかります。

その間にも、中国の景気刺激策、米ドルの動向、景気後退への懸念、予期せぬ鉱山の操業停止などが価格を左右します。

銅の強気相場が続くために、毎月価格が上昇する必要はありません。重要なのは、長期的な平均価格が、新規鉱山開発への投資を促しながら、既存の生産会社にも十分な利益をもたらす水準を維持できるかどうかです。

この点では、短期的な価格変動が大きいとしても、現在の環境は依然として銅価格を支える方向にあります。

銅鉱山株への投資をどう考えるか

銅投資を考えるうえで実践的な問題となるのが、どのような形で銅へのエクスポージャーを得るかという点です。

銅専業の鉱山会社は、銅価格の変動による影響を大きく受けます。一方、BHPのような資源メジャーでは複数のコモディティを扱っているため、より分散された形で銅需要拡大の恩恵を受けることができます。ただし、現在のBHPでは銅が最大の収益源となっています。

銅鉱山会社のなかでも、低い総コスト、明確な生産拡大計画、規律ある資本配分を示すことのできる企業は、市場から高い評価を受ける傾向があります。

注目される銅関連株は、大きく3つに分けられます。

  1. 規模と財務力を持つ大手生産会社
  2. 明確な成長材料を持つ中堅生産会社
  3. リスクは高いものの、大きな上昇余地を持つ一部の探鉱・開発会社

カナダの銅関連株は、比較的安定した事業地域と地質学的な成長余地の両方を求める投資家から注目されています。

そのため、銅投資の見通しを考える際には、特定の価格目標だけを見るのではなく、銅の需要と供給が数年にわたって逼迫した状態を維持する可能性を考えることが重要です。

世界の銅需要は引き続き拡大しています。短期的か構造的かを問わず、世界的な銅不足への懸念は市場を支える要因となっています。さらにAI関連の銅需要という、5年前にはほとんど議論されていなかった新たな需要源も加わっています。

銅の強気相場にもリスクはある

BHPが市場予想を上回る業績を発表するたびに、「銅は新たな長期的な強気相場に入った」と考えたくなるかもしれません。しかし、市場はそれほど単純ではありません。

コストインフレ、労働争議、地政学的ショックなど、さまざまなリスクが残されています。

技術革新によって、将来的にデータセンターで使用される銅の量が減少する可能性もあります。

BHP自身も、同社が生産する銅への需要拡大には自信を示している一方、継続的なコスト上昇圧力や、より広いマクロ経済環境が長期的に与える影響について注意を促しています。

ただし、より重要なのは別の点です。

世界最大級の鉱山会社で銅が最大の収益源となり、さらに既存の銅生産会社を買収するより、自社で新たな生産能力を開発する方が大幅に安いという状況は、単なる景気循環以上の意味を持つ可能性があります。

それは、質の高い銅資産の希少性と、大規模な銅鉱山を新たに作り出すことの難しさを示しています。

BHPにとって、銅は脇役から主役へと変化しました。この変化が長期的な銅価格の見通しをさらに押し上げるかどうかは、今後の需要増加と、鉱業界が新たな供給能力をどこまで増やせるかの競争によって決まります。

現時点ではそのバランスは依然として拮抗しており、それだけに銅鉱山株、銅価格、そして銅市場全体の見通しは引き続き注目されます。

【免責事項】

本記事は情報提供および教育のみを目的としており、投資助言、推奨、または証券の売買を勧誘するものではありません。

BHP株、銅関連株、銅鉱山株、その他の関連金融商品への投資には、元本損失の可能性を含む大きなリスクがあります。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。

銅価格、生産量、市場予測は急速に変化する可能性があります。投資判断を行う前に、読者自身で十分な調査を行い、企業の提出書類や規制当局への開示情報を確認したうえで、必要に応じて資格を有するファイナンシャルアドバイザーに相談してください。

本記事のデータおよび記述は、2026年8月時点の公開情報に基づいており、その後変更される可能性があります。

著者:Ben McGregor

Ben McGregor氏は、Canadian Mining Reportで毎週の「Weekly Roundup」を執筆し、金属・鉱業セクターに関する分析を提供しています。市場のトレンドを捉え、複雑な市場変動をTSXV上場のジュニア鉱山会社に関する分かりやすい洞察へとまとめています。

毎週の記事では、金、銅、ウランなど幅広い鉱種を取り上げ、データに基づく視点と投資機会を見極める分析を提供しています。変化の激しいジュニア鉱山業界を理解するうえで、投資家に役立つ情報を発信しています。

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