※本記事は、Canadian Mining Report にて Ben McGregor 氏が執筆した内容を翻訳・再構成したものです。
防衛計画に携わる専門家たちは、特定のあまり知られていない金属が持つ戦略的な価値を以前から認識してきました。しかし、地政学的な緊張とサプライチェーンの集中によって、タングステンやアンチモンなどの防衛鉱物は、専門家だけが注目する存在から、各国の重要鉱物政策の中心へと移りつつあります。
「戦争金属(War Metals)」とは、防衛・軍事システムにおいて主要、あるいは重要な用途を持つ鉱物群を指す非公式な呼称です。
代表的なものがタングステンです。極めて高い密度と高い融点を持つことから、運動エネルギー弾、装甲、特定の航空宇宙部品などに使用されています。
アンチモンは、難燃剤、弾薬、特殊合金などに使用されます。
このほか、ガリウム、ゲルマニウム、ベリリウム、特定のレアアース(希土類元素)も、電子機器、センサー、誘導システムなどで重要な役割を果たしています。
これらの鉱物は大量に消費される一般的なコモディティとは異なりますが、特定の防衛技術に不可欠であるため、供給が途絶えた場合の影響が大きいという特徴があります。
数十年にわたり、こうした鉱物は比較的目立たないニッチ市場にとどまっていました。
生産は少数の地域に集中していましたが、西側諸国の防衛機関は備蓄や専門的な契約を通じて供給を管理してきました。しかし、この体制は以前ほど安定したものではなくなっています。
輸出規制や地政学的な競争が強まっていることに加え、現代の軍事システムには多くの鉱物資源が必要であることが改めて認識されるようになりました。
その結果、防衛鉱物は国家レベルの重要鉱物戦略において、より重要な位置を占めるようになっています。
タングステンは、防衛鉱物が抱える問題を分かりやすく示しています。
タングステンの採掘と加工では、中国が圧倒的なシェアを占めています。そのため欧米諸国は、自国や同盟国で生産能力を再構築しようとしています。
しかし、新たな供給源を確保することは簡単ではありません。
鉱山開発には長い時間がかかるうえ、環境関連の許認可を取得する必要があります。さらに、新規プロジェクトは既存の低コスト生産者とも競争しなければなりません。
アンチモンも同様に、生産地域の集中というリスクを抱えています。
こうした状況を背景に、米国、欧州、その他の同盟国では、代替となる鉱物資源の特定やプロジェクトへの資金提供、許認可の取得を進めるための政策的な動きが強まっています。
カナダ企業は現在、大規模な生産よりも、探鉱・開発プロジェクトを通じて防衛鉱物市場へ参入するケースが多くなっています。
カナダには複数の地域で地質学的なポテンシャルがあります。しかし、鉱床を発見してから実際に防衛関連のサプライチェーンへ供給するまでには長い時間がかかり、多額の資金も必要になります。
そのため、カナダの防衛鉱物関連企業へ投資する場合には、信頼できる技術プログラムを持つ企業と、単に宣伝目的で「重要鉱物」という言葉を使用している企業を見分けることが重要です。
重要鉱物というテーマ自体が注目されているからといって、すべての探鉱企業に同じ価値があるわけではありません。
投資家にとっては、実際の地質学的な裏付けや探鉱の進捗、プロジェクトを前進させるための資金力などを確認する必要があります。
タングステンやアンチモンなどの防衛鉱物には、供給の希少性や安全保障上の重要性を背景とした「戦略的プレミアム」が存在します。
しかし、鉱物そのものが戦略的に重要であることと、その鉱物を保有する企業への投資で利益を得られることは別の問題です。
防衛関連の調達サイクルは不透明で、供給企業として認められるための要件も厳しくなっています。また、実際の取引量は銅や鉄鉱石などのバルク商品と比較すると小さい場合があります。
投資対象としての魅力は、鉱物の希少性、政府による政策支援、そして政府が生産を保証したり、生産された鉱物を購入したりする意思があるかどうかにも左右されます。
さらに、こうした政策は政権交代や政府予算によって変化する可能性があります。
つまり、「防衛に必要な鉱物だから価格や関連株が必ず上昇する」と単純に考えるのではなく、実際の供給体制や政策支援、プロジェクトの実現可能性まで確認することが重要です。
防衛システムで重要な用途を持つ鉱物を指します。タングステン、アンチモンのほか、弾薬、装甲、電子機器などに使用される特定の特殊金属が含まれます。
タングステン、アンチモン、レアアース、ガリウム、ゲルマニウム、ベリリウムなどが挙げられます。どの鉱物が重要になるかは、使用される軍事技術によって異なります。
タングステンは高い密度と耐熱性を持つため、徹甲弾や高温環境で使用される部品などに不可欠です。また、供給が特定の地域に大きく集中しています。
あります。ただし、現在は主に探鉱・初期開発段階の企業です。欧米における大規模な生産は依然として限定されています。
【免責事項】
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。
Ben McGregor氏は、CanadianMiningReport.comで「Weekly Roundup」を執筆し、金属・鉱業セクターに関する分析を行っています。
金、銅、ウランなど幅広い鉱種を扱い、データに基づいた視点と投資機会を見極める分析を組み合わせながら、特にTSXV(トロント・ベンチャー取引所)に上場するジュニア鉱山企業を中心に市場動向を発信しています。